マジシャンの仕事は人前でパフォーマンスをすることです。
他のパフォーマーと違う点は、限りなく失敗が許されない状況にある、という点です。
マジックの性質上、失敗すればマジックの本質が根底からひっくり返ってしまい、全てが台無しとなってしまいます。
他のパフォーマーの失敗が許されるというわけではありませんが、マジックと他では失敗の存在自体が違うのです。
さて、そんなシビアな状態でいつもパフォーマンスするマジシャンも、自分の能力よりも大きな仕事を受けたり、特殊な環境でのパフォーマンスとなれば緊張せずにはいられません。
しかし、緊張は失敗の元ですから、なんとかして緊張をほぐさなければなりません。
いかなる状況でも緊張せずに精密な指先の技術を駆使するマジシャンはいかにして、ベストなパフォーマンスを行っているのでしょうか?
今回は、マジシャンだからこそ語れる人前で緊張しない方法をご紹介します。
就活の面接、会社のプレゼンなど、人前に立つ状況は皆違いますから、それぞれの立場に合わせ単語を置き換えながら読んでみてください。
1 準備をしっかりと行う
これは言うまでもありません。基本中の基本です。人前に立つ事が分かっているのであれば、しっかりと資料を読み込んだり、練習をしたりして、準備万端の状況をつくり、不安を抱えずに本番を迎えましょう。不安の大きさは自信のなさに比例します。その不安こそが緊張の大きな原因のひとつなのです。
2 ポジティブに考える
自分のパフォーマンスが成功した時に、お客さんからどんな風に見てもらえるか、どんな賛辞の言葉を送ってもらえるか、などのポジティブなイメージをします。例えば、
このコンテストで優勝したら、どんな楽しい事が待っているだろう!という具合に。
人間の身体はイメージに順応する性質があります。失敗したらどうしよう、と考え込んでしまうと身体も良くない方に順応してしまいます。あれだけ準備したのだから大丈夫だ!と自分に言い聞かせましょう。
3 サングラスをかける
これはかなり状況が限定的ではありますが、サングラスをかけると、相手に自分の目を見られる心配がありません。日本では「目は口ほどにものを言う」というくらいに、目は感情を豊かに表します。もちろん緊張や動揺などのネガティブな感情も相手に伝わってしまいますし、相手に見られている、という意識は余計に緊張を招きます。サングラスをかける事で、相手に自分の緊張や動揺を読まれる心配もありませんし、物質的に守られているかの様な感覚になれます。
同様の原理で、観客がよく見えなければ緊張しない。という話もあります。ステージの照明が明る過ぎて客席にいる観客の顔が識別出来なくなると、自然と緊張が解けるようです。目が悪い人はコンタクトや眼鏡を外してみるのもいいかもしれませんね。
4 別人になりきる/キャラを作る
これは少し難しいですが、かなり有効な手段であり、多くのマジシャンが利用している方法です。
「人前に立つ時の自分はいつもの自分ではない」と自分で決め、人前に出る時用にキャラクターを作っておきます。勤勉で語彙を駆使して雄弁に喋るキャラでも、愉快でフランクなキャラでもなんでも構いません。これは(いつもの)自分ではない、と決め込み、ある種の責任転嫁をすることで緊張を防ぎます。多くの一流パフォーマーはステージ上のキャラと普段の性格が違うものです。彼らもまた人前で緊張しないようにキャラを決め込んでいるのです。
ゼロからキャラを作るのは大変ですので、一度、自分はどういう性格かを考えてみると良いかもしれません。その性格の延長線上にいるのがあなたが作るべきキャラです。自分の性格をポジティブな面を見つけ、それを拡大しましょう。普段から明るい性格であるのなら、人前ではいつもより明るいキャラを作れば良いのです。普段は真面目な性格であるなら、より真面目なキャラを作り込めば、元からあなたの事を知る人がキャラを演じているあなたを見てもそんなに違和感を覚える事は無いでしょう。いきなり豹変するとみんなビックリしちゃいますからね。
5 感謝する
これは個人的に最も有効だと考える手法の一つです。準備もした、ポジティブに考えてる、キャラも作った、でもまだ緊張する。そう言う時はこれを使います。人前に立つ事になった状況や環境に感謝するのです。
人前に立つ機会なんて誰にでも巡って来るわけではない、人前に出たくても出れない人もいる、こんな状況を作ってくれてありがとう。準備を手伝ってくれたみんな、ありがとう。
という具合です。もっと遡ってもいいでしょう。自分を育ててくれた親や身の回りの人、会場まで運んでくれたタクシーのおじさんでもいいです。とにかく心の底から感謝をすると、緊張が面白いくらいに解けていきます。
まとめ
いかだったでしょうか。
使えそうなものもあれば、使えなさそうなものもあったかもしれません。
最後にひとつ言える事があるとすれば、
深く考えすぎないこと
です。
人前に立つ準備をしている時に、まるで
その出番(面接、プレゼン、パフォーマンス)が世界のすべて
かのような錯覚に陥ります。
しかし、目の前にあるその出番なんて長い目で見ればとてもちっぽけなものです。
リラックスして、クックパッドでも見てその日の晩ご飯のことでも考えていれば自然と緊張も消えるでしょう。
もちろん、しっかりと準備をした上で、ですが ;)