私たちの身の回りは無限の色に囲まれています。
以前『色への意識』で世界は変わる? ~魅惑の色の世界~で色について少し触れました。
色の持つ力は偉大です。視覚は最も分かりやすく人間の心に訴えることができるからです。
こんな色彩感覚のテストがweb上であります。
女性の255人にひとり、男性では12人にひとりが色覚に何らかの問題があるといいます。
この「Online Color Challenge」は、色の順番をかえて、きれいなグラデーションを完成させるというもの。4つの並べ替えの正確さで評価点が出ます。評価点は低いほど良い結果で、ゼロ点が最高の評価となります。
magohacksでチャレンジしてみたところ、色を扱うことに慣れているデザイナー(私)の点数は満点でした。(よかったよかった。。)
少し時間のかかるテストですが、自分の色覚が気になる方は一度お試し頂きたいところです。
さて、本題に移りたいと思います。
色の持つイメージ
それぞれの色にはそれぞれの「イメージ」があります。
赤は『元気な』青は『冷たい』黒は『重い』などなど、パッと思いつくだけでもキリが無いですね。
ざっくり言うとこのようなイメージから企業ロゴなどの色も決められています。
赤で「日本経済を良くしようという情熱」を、
青で「お客様のために誠心誠意努めますという誠実さ」を、
緑で「自然と環境を大切にするポリシー」を。
こんな感じです。
その『イメージ』がはっきりわかるようなアメリカでの面白い実験があります。
主婦たちに、a,b,cの3つの容器に入った洗剤を使用してもらい、どれが一番汚れがとれるか、という意見を出してもらうもの。
主婦たちは異なる3つの洗剤を比べるのだと思っていたが、実は全て同じ洗剤で、容器の色だけが違っている。
aは黄色、bは青色、cは黄色を散らした青色、というパターンだ。
これはアメリカの色彩心理学者ルイス・チェスキン発案の実験である。
結果はというと、同じ洗剤のはずなのに主婦たちは口を揃えてこう言った。
『aの黄色の容器の洗剤は汚れはよく落ちるが手荒れが酷くて困る。』
『bの青色の容器の洗剤は洗ったあとさっぱりしているが汚れがあんまり落ちない。』
『cの黄色の容器の洗剤はすばらしい!汚れもよく落ちるし手も荒れない!』
だそうだ。cの黄色を散らした青色は、チェスキンが考えた理想的な色彩バランスのモノであった。
非常に興味深いですね。 ここまで色による効果が顕著ならば、マジシャンなどのパフォーマーは色についてもっと深く探求すべきなのではないでしょうか。
今回はパフォーマンスをするときに役立ちそうな色のアレコレを紹介します。
1. 暖色と寒色
色の寒暖は、色相との関連が深いのです。ただし、無彩色(モノクロ)は寒色と同様に冷たく感じられるという報告もあるそうです。
暖色: 赤〜橙〜黄〜黄緑
中間的: 赤紫〜紫、緑
寒色: 青紫〜青〜青緑
ただし、気温の変化までは感じさせる効果はありません。
2. 進出色と後退色
色と距離の感覚は、色相との関連が大きく、暖色が進出し、寒色が後退して感じられます。
例えば、衣装の色でこの点を意識するればあなたのスタイルがハッキリ浮き彫りになって来るかもしれません。
ぐいぐい行くタイプか、どっしり構えるタイプか、色の視点から考えてみるのも面白いです。
3. 膨張色と収縮色
色と大きさの感覚は明度との関連が深く、明度が高いほど大きく見えると言われています。
ただし、色相が関連するという報告もあります。その場合赤や黄色が膨張し、青が収縮するといいます。
例えば、コインでは、同じ大きさでも、銀貨は銅貨よりも大きく見えます。完全に同じ大きさに見せるには少し大きい銅貨を使えばいいでしょう。(といっても微差ですが)
4. 重い色と軽い色
明度が高いと軽く、低いと重く感じられると言われています。
例えば、道具を自作する際、重厚感のある木製道具を作りたければ、塗装の時に暗めの色を使えばいいでしょう。
いかがでしたか?
こんなに違う印象を受ける色、マジックの演出に使わなければ損です。
大人しくどこか怪しげな演技のムードを作るために青っぽい衣装、道具、照明を用意したり、
重そうな物をより重く見せるために暗い色の道具に変更したり…
さまざまなことが考えられますね。
あなたのマジックに彩りを。