突然ですが
最近、クリエイティブしていますか?
マジシャンは、コンテストに出場し他の演者と差別化を図ったり、斬新なトリックを考えてレクチャー商売をしたりと、クリエイティブと切っても切れない立場にあります。
この業界で名を馳せるにはクリエイティブが必要不可欠と言っても過言ではないでしょう。
新しいトリックを考えるのも、新事業を起こすのも、新しい営業先を生み出すのも、すべて創造力を必要とします。
他の人よりも一歩先を、新しいものを常に探求し続ける姿勢はどんな職業にも必要とされますが、マジックという仕事、趣味の道はその姿勢なくしては渡れないと言えるでしょう。
今回紹介する本はあなたの脳にかかっている「創造力のブレーキ」を外してくれます。
ブレーキを外し、情熱のおもむくままにクリエイティブを楽しみましょう!
クリエイティブの授業 by オースティンクレオン
タイトルが直球でいいですね。表紙もオシャレです。
この本の著者、オースティンクレオンさんは、新聞記事を黒塗りで作った詩集『Newspaper Blackout』の作者として知られ、この本の原書である『Steal Like an Artist』はニューヨークタイムズのベストセラーリストにランクインしました。
彼の作品はこちら(画像をクリックで彼のサイトに飛びます)
「オリジナルでなければ」という肩の荷を下ろせば、僕たちはもう無から何かを作ろうなんて思わなくなる。他人の影響を避けようとするんじゃなくて、受け入れられるようになるんだ。(本文より)
本書のメインテーマは
パクりまくれ!!!
です。
完全なオリジナルなんて存在しない、すべてがリミックス、模倣である。
と多くのクリエイターが口を揃えて言っています。
「無からの想像」なんてもはやあり得ないのです。
こちらの内容に関してはこちらの動画(英語)がまとめています。
簡単な要約記事はこちら。
12/10追記:「プレゼンテーションの極意 ~TED talk~」の記事内で、この動画を要約した日本語字幕の動画を追加しました。是非ご覧下さい。
さて、本書に戻りましょう。
原書のタイトル『Steal Like an Artist』の通り、この本のメインテーマは「アーティストのように盗め!」ということで、先ほど紹介した通り、とにかく最初は模倣から始めろ!ということですが、
本書の魅力は他にあります。
クリエイティブな人生を送るための10原則を紹介
と謳われている通り、10のテーマがあります。
1 アーティストのように盗め!
2 自分探しは後回し
3 自分の読みたい本を書こう
4 手を使おう
5 本業以外も大切に
6 いいものつくって、みんなと共有
7 場所にこだわらない
8 他人には親切に(世界は小さい町だ)
9 平凡に生きよう(仕事がはかどる唯一の道だ)
10 創造力は引き算だ
1と10ではクリエイティブの方法論的な話ですが、その他のテーマは
「クリエイティブとどう付き合うか」に焦点が当てられています。(最終的に方法論的な落とし込み方をしてはいますが)
事実、クリエイティブの方法論について書かれた本なんていくらでもあります。
その中でも本書をピックアップした大きな理由がこれなのです。
万人に当てはまるクリエイティブの方法論なんて存在しません。
方法論についてはクリエイティブの基本的な考え方と著者の例を語る程度にしています。
読み方によっては全て方法論に読めるかもしれませんが、どう読むかは、あなた次第です。
オースティンクレオンさん。ナイススマイル。
本書の中でも特に刺激的な文をいくつか引用してみます。
「いったん注目を浴びれば、そしていったん給料を受け取ってしまえば、もう好きには出来ない。無名を存分に楽しもう、無名を力にしよう。」
マジック界は巨大なアマチュアニズムによって支えられているとも言えます。業界の技術的発達には極趣味的な姿勢が大きく関わっているのは言うまでもないでしょう。
有名になる事が目標であるなら、そうでないうちにのびのびとやりたい事を試しておいたほうが良さそうです。
「友を作って、敵は無視。僕がここにいる理由はただ一つ。友達をつくるため。」
「ケンカしてる暇があれば何か作りなさい。」
小さな業界内のいざこざなんて置いておいて、まず何か作りましょう。とりあえず動きましょう。他人の事は二の次です。どうしても対立するのであれば、クリエイティブで勝負しましょう。
本書の中では有名なクリエイターの言葉も引用しています。この引用文の書かれた項はこの台詞で締められています。
「他人の作ったソフトウェアに文句を言ういちばんの方法は、自分でソフトウェアを作る事だ」アンドレトレズ (ソフトウェア開発者)
マジシャンに当てはめれば
「他人の作ったトリックに文句を言ういちばんの方法は、自分でトリックを作る事だ」
「他人の作ったショーに文句を言ういちばんの方法は、自分でショーを作る事だ」
口だけの批判は簡単です。事実、なにも作らない人からの批判なんて聞く耳を持つ必要がありません。
「束縛を楽しめ。」
クレオンさんはインターネットは我々を開放してくれていると言っています。これは「脳の開放」ではなく「人との関係においての開放」です。つまりネットは我々を孤独から開放してくれており、オフラインの状況で我々は孤独で束縛されている、と言っています。そしてその状況を楽しめ!、と。デジタルから離れよ、とも言っています。
今はネットでマジックを学べる時代ですが、学べるのは初歩の初歩。入門に過ぎません。これは技術やトリックの難しさの話ではありません。マジックの本質的な部分を知るにはデジタルでは限界があります。
そしてクリエイティブの瞬間はいつも孤独です。ブレインストーミングも大切ですが、“あなたが作るべきもの” を作れるようになる為には一人の時間、束縛が必要不可欠です。
良い盗み方と悪い盗み方の比較があったので引用しておきます。
「パクる」というと良いイメージがありませんが、「よいパクリ方」をしましょう!
Amazon、大きな書店には必ず置かれていると思います。是非、手に取ってみてください。
最後にクレオンさんが、Chase Jarvis LIVEでインタビューを受けている動画を載せておきます。英語ですが、このChase Jarvis LIVEの動画のオシャレさを観るだけでもこの動画を観る価値があるでしょう。