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触れるヴァーチャル。触覚の仮想現実は可能か?


コンピュータが作り出した映像に「触れる」としたら、現実世界との境界はいよいよ曖昧になります。
しかし、そんなことは可能なのでしょうか?どんな技術で実現できるのでしょうか。

初めまして、ライターとして参加させていただくことになりました、 kuboon です。
主に技術系の話題を扱ってまいります。どうぞよろしく。

Technology or Magic? / 高度に発達した技術は魔法と見分けがつかない.
(http://magohacks.com/?p=536)
の記事内で、私が以前書いた「未来奇術論」を取り上げて頂きました。

その流れで 近未来?!新たなマジックの可能性がそこに。 や、 ここまで来たか・・・!描いた未来がもうそこに。~ HolograFX ~ の紹介が続いていますが、今日は「触覚」に着目したお話です。

昨年、Leap Motion が発売され、仮想世界を手の動きだけで自在に操作することは既に普通のことになりました。今年は Thalmic Myo の発売が予定されており、手の動きを直接仮想世界に伝える技術はどんどん加速しています。

これらの技術を立体映像と組み合わせれば、空中に浮いている仮想物体を手で押したり、遠くへ投げたりといったことがすぐにでも実現出来そうです。既に日常に浸透しているタッチパネル操作の3D版といったところです。触覚と視覚は脳で密接に結びついていますから、押したモノが遅延なく押されてゆくなら、ほぼそれに「触った」と同じように感じられることでしょう。

しかし、惜しいことに、そこには重みの感覚がありません。重さや質感のヴァーチャル化はどのように可能になるでしょうか?

重さを感じさせるデバイスとしては、 Gravity Grabber というものがあります。手のひらに乗るような立方体の箱を手で持つと、その中に何かが入っていて動くのが感じられます。

マッチ箱のモンテをこれでやってみたいですね。フタを開けると精密機械が詰まっていてびっくり。

質感の再現も研究室レベルでは進んでいます。電極のたくさん並んだデバイスを指で触る事で、そこに物体があるかのように触り心地を仮想的に再現 できるそうです。これが小型化したら、ハンカチ越しにお客さんの指輪を触らせる時に便利そうです。

触覚再現のなかでもかなり魔法に近いのが、空中超音波触覚ディスプレイです。

「風を吹き付けている?」と最初は思うかもしれませんが、扇風機のような風圧と違って奥行きを制御出来ています。この装置は超音波を使っています。超音波というのは細かい空気振動です。これを多数重ね合わせる事で、局所的に大きな空気圧を生み出します。

触覚の話からすこし外れますが、空中でモノを押せるということは・・・そうです、浮遊現象も出来そうですよね。ついでにご紹介しておきましょう。

まだ軽いモノしか浮かせられないようですが、パワーアップして両腕に仕込んだら、トランプ1枚くらい本当に浮かせる事が出来そうですね。


kuboon (大久保 康平)
東京在住。株式会社ショウマンCTO (最高技術顧問) 。
1980/7/24 生まれ

マジックを応用した舞台、イベントの他、CM等プロモーションに奇術的効果を取り入れるアドバイザーとして幅広く活動中。


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